#14 文科系のためのクラウド・コンピューティング
※本記事は、2013年当時に配信したメールマガジンを、ホームページ掲載用に一部表現を整えたものです。
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地球には5つの大海洋があります。
そして現代、6つ目の巨大な海が生まれたともいえるのではないでしょうか。
それは、世界中に広がった情報通信ネットワークという、巨大な電網の海です。
クラウドの世界をイメージする時、広大な海の中を巨大なクジラが群れをなし、うねりながら流麗に泳いでいる光景を思い描きます。
このクジラたちは、時に協力し、時には競い合いながら、それぞれの生存と成長をかけて動いています。
さて、その中でも特に巨大なクジラの一頭である「Google」が、ここまで大きく進化してきた経緯を見てみましょう。
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情報通信の機能を俯瞰して思うことは、少し大胆に言えば、「フォーム(箱)」と「コンテンツ(内容)」と「エディット(編集)」から成り立っているのではないか、ということです。
中でも「エディット(編集)」とは、コンテンツを整理、検索、抽出、閲覧するといった機能です。
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Googleは、コンテンツに寄り添うスタンスで、この「エディット」、つまり編集機能を発達させることで進化してきました。
それは、つまり「検索装置」です。
Googleが作り上げた驚くべき装置は、世界に散在する膨大な数のコンテンツを収集し、包含し、リスト化しました。
さらに、その膨大な量のサイトを整理し、ページから単語を抜き出して、インデックスを作成しました。
Googleは大きなクジラとなって、世界中の情報を飲み込むかのように成長していきました。
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検索技術の考え方の一つに、TF(term frequency)とIDF(inverse document frequency)という手法があります。
TFは、ページ内に検索された単語がどれくらい含まれているかを見る考え方です。
IDFは、検索単語の特徴性を重視する見方で、一般的な語に対しては重要度を下げようとする方法です。
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それは、Web 2.0という驚異的に進化した技術を手にした企業のアドバンテージでもありました。
SNSが広がり、情報の発信者と受信者という立場は、以前ほど明確ではなくなりました。
不特定多数の閲覧者が、神経細胞のようにつながっていきます。
SNSのブックマーク機能などからは、集合知も生まれました。
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プロモーションのプランナーたちは、注目A(Attention)、興味I(Interest)、検索S(Search)、行動A(Action)、情報共有S(Share)という「AISAS(アイサス)」の考え方を用いることがあります。
情報共有S(Share)というのが、「集合知」の利用ですね。
この考え方を活用することで、膨大な情報の中にいる多くのユーザーに対して、関心を喚起し、行動を促すことができます。
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今、企業や自治体が有する端末やサーバ内には、膨大に増え、整理されていないデータが散在しています。
データベースを構築、整備、管理、運用していくことに費やされる費用も、かなりの負担となってきているのが現状です。
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クラウド化への企業の期待は、経費負担を減らし、モバイル端末の有効活用などによってサービスを向上させることにあります。
政府の狙いは、行政情報システム全体の最適化、電子化情報の利用促進、ビッグデータの分析によるビジネスチャンスの創出と経済の活性化です。
さらに、病気の予防や犯罪対策、農業効率化への情報利用など、その可能性は多方面に広がっています。
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クラウドサービス会社は、「フォーム」も「コンテンツ」も取り込み、ビッグデータを運用しながら、より巨大なクジラとなっていきます。
しかし、この未知の深海には、リスクも潜んでいます。
国家や組織によるサイバー攻撃、情報漏えい、システム障害など、クラウドの利便性の裏側には、常に備えるべき課題があります。
仮想の公海においても、「秩序」こそが重要です。
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昔、習った物理の法則に「エントロピー増大の法則」がありました。
簡単に言えば、すべての事物は、自然のままにしておくと拡散し、無秩序な状態になっていく、ということだったと思います。
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物理の法則が情報分野にそのまま当てはまるかどうかは分かりません。
しかし、コンテンツはPCという実体から、クラウドという仮想領域の中へ転送され、拡散されていくように見えます。
そのまま放置すれば、情報は無秩序になっていくようにも思えます。
いわば、コンテンツの価値を守ることができるのは「秩序」であり、クラウド・コンピューティングとは、秩序と無秩序がせめぎ合う場だと言えるのかもしれません。
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クラウド・コンピューティングの運用化から、計り知れないほどのビジネスチャンスが生まれてくることは間違いありません。
これほど高濃度のえさ場には、大きな魚も小さな魚も、さまざまな魚が集まってきます。
当社も良識ある小さな魚として、この大きな流れの中でチャンスを掴んでいきたいと考えています。
そして、できれば多くの企業様と協業し、一緒に新たなチャンスを掴んでいければ幸いです。
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今回は、こんな文章で締めてみたいと思います。
「波騒(なみざい)は世の常である。波にまかせて、泳ぎ上手に、雑魚(ざこ)は歌い雑魚は踊る。けれど、誰か知ろう、百尺下の水の心を。水の深さを。」
吉川英治著「宮本武蔵」最終巻より
