昨年の熊本地震(2016年4月14日)から、1年以上が経ちました。早いものですね。
1年が経過したとはいえ、避難生活を続けておられる方、道路の不通により不自由な生活を余儀なくされている方、被災者の皆様に心よりお見舞いを申し上げます。
熊本・大分県の被害額は約2,6〜4.6兆円だそうです。(内閣府政策統計より)
発災直後、熊本に拠点を持つ民間企業各社が操業を停止しました。
数週間で事業を再開した企業もありますが、停電復旧がはかどらず、かなり遅れて事業を再開した企業、残念ながら未だに再開できていない企業もあります。
災害で企業が被る損失には、(a)人的被害、(b)建物などの固定資産、(c)設備・在庫などの動産、(d)事業中断による営業損失があります。
災害だからといって、初めから諦めるわけにはいきません。
そこで、企業が実施すべき「災害への備え」をご案内します。
建物の耐震診断
建物は耐震診断を受けましょう。(自治体によっては補助制度があります)
特に次のような建物は診断してもらうべきです。
- 建築基準法が改正になった1981年以前の建物
- ピロティや吹き抜けの空間がある建物
- 壁の位置が偏っている建物
- 地盤沈下などで基礎が地盤に達していない建物
- 建物に歪みがある建物
- 地震情報よりも揺れを大きく感じる建物
- 火災などで火を被ったことがある建物
企業の採るべき行動
発災後または発災以前に企業が行う活動としては、次のようなことが考えられます。
- 危険度の把握(事前の被害の想定)
企業が地震対策を検討するときは、費用対効果の見極めが必要となります。大地震に限定せず、地震の発生頻度・規模を想定します。 - 従業員・家族・経営資源の安全確保(会社と離れた場所でも、活動できる判断基準)
- 顧客の安全確保
- 二次災害の防止(地域へ迷惑をかけない)自販機やブロック塀の転倒など
- 事業の早期復旧
- 地域への救援活動(社会システム全体の麻痺を考慮)
- 関連企業の復旧活動
事業所周辺の危険地帯の事前把握も重要です。その情報は自治体から配布されているハザードマップがとても役に立ちます。
〈芦屋市が発行しているハザードマップ〉
〈北六甲台校区協議会が発行しているハザードマップ〉
連絡体制と危機管理対策組織の策定
従業員が適切な行動をするために、経営層の支持が速やかに下へ伝わる必要があります。また、経営層が判断を下すためには、情報を上に伝える連絡網が必要です。
つまり、それぞれの連絡体制を整えなければいけません。
被害を最小限に抑えるためには、統制の取れた行動が必要です。緊急時の行動の優先順位と役割分担を明確にしておかなければいけません。
人員情報・救護救援・生活物資・地域対応・IT及び通信の復旧・生産復旧・資材復旧・得意先対応、などの担当部署を決定します。
指揮・命令系統の担当者は被災により連絡できない場合も想定し、すぐに代理ができる補佐役も必要です。
災害対策本部の設置場所と設置タイミングも明確にします。本社に設置することが多いようですが、本社の被害が大きい時のために第二設置場所も決めておきます。
発災時間が休日や夜間の場合の参集要員も決めておきましょう。
従業員への周知
以上の内容は全従業員が周知する必要がありますので、明文化しマニュアルを整備します。また、時系列に沿った行動も簡明に記載します。
- 日頃の備え
- 発災直後の対応:人命救助・救援・二次災害防止
- 2〜3日後:地域社会への貢献
- 一週間経過後:事業再開
そして、細部の行動については対処者の裁量に委ねるようにしましょう。
従業員全員に配布するマニュアルは、いつどこで災害が発生しても対応できるように、携帯できるポケットタイプのものを推奨いたします。
自治体の「初動マニュアル」が参考になります。
上の芦屋市「初動マニュアル」は当社が製造したZ-CARD®という、折りたためばポケットに入る仕様です。
南海トラフ地震は10年以内に発生する確率は20〜30%。
内閣府の中央防災会議では、発災下場合、最大30万人以上が死亡し、被害総額は220兆円に達すると試算されています。
今の間に、防災対策に取り組まれては、いかがでしょうか?
今回は、「防災対策 企業が実施すべきこと」という情報を案内させていただきました。
大庭 克俊
株式会社コーユービジネス 神戸営業所
海外メディアは日本人は災害が起きても秩序が乱れず、仲間同士で助け合うのが素晴らしいと賞賛します。
とっても嬉しいけど本当のところは、日本という国がユーラシア大陸の東の崖っぷちにあって、地震はあるし、津波があるし、台風が来るしで、小さな島国に暮らす人同士で助け合わないとやっていけないですもの。
災害から生まれた気質なのかも。
災害に対する年季が違いますからね。