専門用語集

データプリント業務の用語には少し分かりづらい言葉が数多くあります。
ここでは、初めての方にも分かりやすく解説いたします。

菊判(きくはん)

当初は新聞印刷の用紙サイズ。大きさは、939mm×636mm。

明治中期、川上正助店が印刷用紙をアメリカン・トレージング商会に注文し輸入しました。
届いた原紙にダリアの紋章が描かれていました。
菊の花を商標にし「菊印判」として売り出しました。
その理由は、
ダリアが菊に似ていたことからとか。
新聞に使用されていたので、「聞(きく)」にちなんだとか。という説があります。

その後日本だけで使用されるようになり、雑誌の印刷にも使用されました。
A4やA5などのA判の印刷物に使用されています。

下駄(げた)をはく・はかせる

原稿で読めない文字があった時に、目印として「〓」というマークを代わりに入れます。

パソコンで版下を作成するようになってから、ほとんど使われなくなった言葉です。

印刷現場で組版の職人が活躍していた時代。
「活版印刷」という手法で印刷を行っていました。

活字(文字)を並べて版を作るので「活版」。
1文字づつの四角い判子を想像してください。

「活版印刷」はグーテンベルグが始めたことで有名です。
西洋の場合は、アルファベット26文字と数字があれば足りますが、 日本や中国の漢字は、膨大な活字の量になります。

そこでまず、原稿に使用する文字を集めます。「文選」という作業です。
原稿に従って、活字を並べるのが「植字」。
崩れないように糸で縛ります「結束」。

しかし、時として乱暴な原稿の場合、読めない文字が出てきます。

読めない文字は活字の判子を裏返しにはめます。
判子の持ち手側の四角い部分は、中央に溝があり、「〓」という字形が刷られます。

原稿作成者がゲラ刷りでこれを見つけると、あわてて修正指示をします。

ちなみにパソコンでも、「ゲタ」で変換すると「〓」を表示できます。

みなさま、原稿は丁寧に書きましょうね。
読めない文字があると、下駄をはかせることになりますから。

ゲラ刷り(げらずり)

試し刷りのこと。

古代ローマ、地中海を支配するローマ帝国は自慢の軍船を操っていました。

動力源は人力。奴隷たちです。 船底に鎖でつながれた奴隷たちが右側に2列、左側に2列、1列は基本25人。 号令に合わせて、2人ひと組で長いオールをこぎます。

この軍船は「ガレイ船(galley)」と呼ばれていました。

古い映画ですが、名匠ウィリアム・ワイラーが監督した「ベン・ハー」に この「ガレイ船(galley)」が登場します。

貴族だったベン・ハーが奴隷に転落した末に、ガレイ船の漕ぎ手として使役されます。

「ガレイ(galley)」という言葉は、時代とともに意味を変えて、復活します。

活版印刷の時代、文章は一文字ずつ探して、浅い木箱に並べていき、1行ごとに鉛の仕切り板を置きます。 この木箱は「ギャレ(galley)」と呼ばれました。

ガレイ船の船底が奴隷のこぎ座用に仕切られていたのを連想したのでしょう。

そして、試し刷りは「ゲラ刷り」と呼ばれます。
これが、「ゲラ刷り」の語源です。
パソコンでデザインをするようになった今でも、使われている言葉ですね。

そうそう、ベンハーはその後どうなったかって?

救世主イエスに命を救われて、故郷イスラエルに帰って来ます。
広い路面に一面の枯葉がカラカラと風に転がっています。

映画中盤のそのシーンがとても良いのです。

「ベン・ハー」、副題は「キリストの物語」。
結末を知りたい方は、ぜひ映画本編をご覧ください。

下版(げはん)

活版印刷時代のなごりで、校了したデータ(組版)を印刷版に下ろす作業。

校閲(こうえつ)

日付や曜日など、原稿以外から事実確認を精査する作業。

校正(こうせい)

元の原稿と見比べて、誤字や脱字など違いを見つける作業。

校了(こうりょう)

お客様が間違いがないことを確認して、校正段階を終えること。

小口(こぐち)

本、冊子、製本の用語。本を綴じていない側、つまりページをめくる時に指を掛ける側の呼び方。

料理に「小口切り」という手法があります。
「口」は「区分」という意味で、小さく切ることが「小口切り」。
そこから、「小口」には切った後の断面という意味もあります。

書籍は「綴じ」の工程後に、3方を断裁します。
切った後の部分に当たるので「小口」と呼ばれます。