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#26 春に想う、いかなごと組織のあり方(エンドレス仕上げ)

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※本記事は、2015年当時に配信したメールマガジンを、ホームページ掲載用に一部表現を整えたものです。

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春がまだ浅い頃、神戸の、特に海寄りの家庭では、いかなごを炊きます。

酒と醤油とみりんと砂糖で煮立てます。
煮汁がなくなった後、冷ませば、濃密なオレンジ色の香ばしい小魚ができあがります。
これが「いかなごの釘煮」という逸品です。

関西圏ではよく知られていますが、全国的にはまだ知名度が高いとはいえないかもしれません。

つまり、小魚の佃煮といった感じでしょうか。
ただ、佃煮と言ってしまうと、どこか少し違うような気もします。

小さな魚たちがぎゅっと集まっている感じは、おせち料理の「ごまめ」にも似ています。
もっとも、「ごまめ」ともまた違いますね。
「私はお正月という特別な時だけですから」と、どこか少し澄ましているような感じがあります。

「いかなごの釘煮」は、よく見れば、みんなあちらこちらに曲がっています。
まるで小さな魚たちの団体競技。
それぞれが違う方向を向きながら、それでもひとつの料理としてまとまっています。

そうか、そうか、えらいね。
そんな気持ちになります。
とはいえ、結局は少しずつほぐして、食べてしまうのですが。

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いかなご。

実に不思議な名前ですね。
魚の名前は、総じて不思議なものが多いような気がします。

「ごまめ」も、長い間、豆料理だと思っていました。
それと同じくらい、不思議な名前です。

ちなみに「ごまめ」の語源は、「こまかい群れ」なのだそうです。
そう考えると、「いかなご」も「ちりめんじゃこ」も「ごまめ」と呼べそうな気もします。

「いかなご」は、生姜で味を整えたり、料亭では山椒で香りを付けたり、白ごまが振られていたりもします。
とにもかくにも、なかなかの逸品です。

そして、これが神戸に春を呼びます。
食すれば、春が来るのです。

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春。

さて、当社は4月で、創業55周年を迎えることとなりました。

企業の平均寿命は23.5年といわれることもあります。
その中で、55周年を迎えられることは、大変ありがたいことです。

なかなか頑張ってきた会社なのだと、少しだけ誇らしい気持ちにもなります。
まるで自分が社長にでもなったような口ぶりで恐縮ですが、こうした節目から、気持ちも新たに盛り上がってくるのだと思います。

会社も人も、努力なくしては成長いたしません。
そう申している私自身も、まだまだ成長の途中ではありますが。

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成長。

高度成長期には、エスカレーターに乗っているかのように、どの企業も市場とともに成長していきました。
しかし、短い安定期を過ぎ、厳しい経済環境になると、企業本来の力が試される時が来ます。

地道な努力で、前進していくしかありません。
ひたすら歩む努力を重ねてきた結果、今の当社があるのだと思います。

せっかくなので、もう少し会社の話をさせてください。

社名の「コーユービジネス」というのは、創業者である森内康雄会長の名前の一部、「康雄」を音読みにした「コーユー」に由来しています。
人名を音読みすることを、有職読み(ゆうそくよみ)と言うそうです。

昔は、人を本来の名前で呼ぶことが失礼とされる場合があり、音読みで呼ぶことがありました。
藤原定家を「ていか」、小野道風を「とうふう」、安倍晴明を「せいめい」と読むような例です。

失礼しました。社名の話でした。

「ビジネス」と後に続けたのは、ビジネス全般へ守備範囲を広げられるように、将来を見据えた森内会長の見識によるものです。

この判断のおかげで、当社は「印刷」という枠だけに縛られず、柔軟な思考で、さまざまなことに挑戦することができました。

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印刷。

この業界も、諸行無常の流れから逃れることはできませんでした。

印刷は時代の流れとともに、押し寄せる電子化の波に向き合うことになりました。
版やフィルムを中心とした工程はデジタル化へ移行し、媒体としての役割も、表示とプリントが担うようになりました。

プロモーションの手法は、アナログからデジタルへと活躍の場を変えていきました。
情報は、質量を持たない本来の姿に戻ったのかもしれません。

この変化の中で、私たちは、求められるサービスとは何なのかを真摯に考えることになりました。

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サービス。

当社は、データプリント処理という次代の業務内容を獲得できたことで、お客様に広くサービスを展開することができました。

業態という形式、つまりフォームにとらわれず、どのようなサービスができるかというコンテンツこそが大切である。
森内は、創業時からその真理を察知していたかのようです。

人と人との間にこそ、ビジネスやサービスが存在します。
人の心を動かさなければ、ビジネスは存続できません。

それこそが、「働く」という動機付け、つまりモチベーションなのかもしれません。

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モチベーション。

企業にとって、最も重要な要素のひとつです。

よくよく思い出せば、私たちがモチベーションを一番高く持っていたのは、もしかすると子どもの頃ではないでしょうか。

やる気ばかりがあるのに、どうしていいか分からない。
それでも、とにかく何かをやってみたい。
そんな気持ちがあったはずです。

だから何にでも夢中になれましたし、いつも何かを待ち遠しく感じていました。

身近にいる大人の何気ないほめ言葉で、モチベーションの針は振り切れていました。
ほめ言葉、つまり評価や期待といった気持ちこそが、力の源だったのだと思います。

しかし、大人になると、モチベーションの対価を金銭だけに求めてしまいがちです。
もちろん、適切な報酬は大切です。
ただし、対価を金銭だけに求めてしまうと、際限がなくなり、満足しにくくなることもあります。

まして、経済環境が厳しい時代では、それだけでは組織が行き詰まってしまいます。

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組織。

人と人がうまく結びついている組織ほど、個人のモチベーションは高くなります。
個人の能力の多様性を認める会社ほど、人と人のつながりは強くなります。

自分と同じ考え方の人に育てることは、比較的簡単かもしれません。
しかし、自分と違う個性を評価することは、非常に難しいことです。
それを生かすことは、さらに難しいことでもあります。

まっすぐな釘ばかりでは、固まりようがありません。
それぞれに曲がり方が違っているからこそ、しっかりと組織として一体化することができます。

組織力を高めていくためには、そう、いかなごの釘煮のようにあるべきなのかもしれません。

当社は、おかげさまで、いかなごの釘煮のような会社です。
それぞれに個性のある人材が集まりながら、ひとつの組織として力を発揮しています。

どうか、そんな「いかなごの釘煮」のようなコーユービジネスを、これからもよろしくお願いいたします。

当社は今後も、皆様のご高配を賜りながら、70年、100年と続く、より良き企業を目指してまいります。

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いかなごの釘煮。

春を呼ぶその味に、今年もまた、前へ進む力をもらったような気がします。

※本文中に記載されている会社名、製品名、サービス名等は、各社の商標または登録商標です。