#18 タブレット読書、事始め
※本記事は、2014年当時に配信したメールマガジンを、ホームページ掲載用に一部表現を整えたものです。
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タブレット読書に興味を抱いたきっかけは、視力の低下でした。
文庫本の文字サイズが、少し読みづらくなってきたのです。
読書仲間から借りていた「出星前夜」(飯嶋和一著)の中盤、かなり面白くなってきて早く読みたいのに、読むスピードが急に低下しました。
全然前に進めないのが、悔しいばかりです。
最近、遅読になっていたのは確かですが、年齢だけを理由にするのも少し抵抗があります。
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選んだのは、Kindle Paperwhite(第1世代)です。
Amazonが提供している読書用タブレットです。
手頃な価格だったことが一番の理由で、一般的なタブレットよりも小さめという点も、実に良いと感じました。
大きなタブレットだと、電車の中などで開く時に、他人の視線が気になって読書どころではありません。
読書以外の機能は不要だったので、これ以降の高機能製品は検討対象に入りませんでした。
内蔵バッテリーが数週間持続するという点も驚きです。
太陽光の下でも読みやすいという説明に惹かれたこと、電子化されている図書もきっと多いのだろうという期待も後押しして、Kindleに決定しました。
Amazonでショッピングカートに入れてから商品が届くまでが、さすがに早かったです。
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さて、おずおずとKindleを開いてみます。
充電しながら早速、「出星前夜」を購入。
あっという間にダウンロードできました。
ページめくりの機能に慣れないまま、文字を追いかけます。
期待通り、読みやすい。
バックライトの加減が素晴らしく、明るめの用紙を見ているような感覚です。
決してモニターを見ている感じではありません。
文字サイズも選ぶことができるところは、さすがデジタルです。
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さっそく読み始めます。
慣れないせいか、字面を滑りがちになります。
文字が頭に入らないまま、目だけがつるっと先へ進む感覚です。
いわば「滑読」に注意です。
あえてゆっくりと読み進めながら、自分のペースを掴んでいきます。
液晶画面は横書きという観念が頭の奥底にあって、縦書きであることに、脳がうっすらと混乱しているのかもしれません。
ページめくりが一瞬というのも、まだ慣れません。
アナログ読書の場合、ページをめくる動作が、読書に一定の時間の隙間と読解のリズムを生んでいるような気がします。
どうやらタブレットを使用するには、自分の読書技術を少し進化させる必要がありそうです。
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かつての読書には、本を読むという行為の背景に、その時々の日常が記憶として貼り付いていました。
幼い頃に買ってもらった児童書。
誰も起きてこない早朝に、布団をかぶったまま、うつ伏せになり、そっと畳の上に本を開いて朝の光で読むことが、何よりも楽しい習慣でした。
新しい本の香りと、頬にひんやりと触れる紙の感触を、今でも思い出すことができます。
それは、スタインベックの「赤い子馬」だったり、デフォーの「ロビンソン・クルーソー」だったりしました。
読書とは、それほどフィジカルな体験です。
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読書体験には、個人の歴史が刻まれます。
デジタル化は、「古びること」を解消してくれます。
それと引き換えに、フィジカルなものを失う面もあります。
例えば、映画「ドットハック セカイの向こうに」を観ると、デジタルがいかにフィジカルなものを変えていくのかを感じることができます。
後半は、ほとんどが仮想の世界での出来事です。
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私はこれから、タブレットを使っていくことになりそうです。
しかし、生きている実感を刻みながらのアナログ読書も、やめたくないという思いは消えそうにありません。
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