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「ノーカーボン紙が接着する?」夏休み実験室

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「ノーカーボン紙が接着する?」夏休み実験室

請求書や納品書などに使用される「ノーカーボン紙」が、知らない間に接着していたという不思議な現象がありました。

ノーカーボン紙は、一般的な上質紙とは異なり、複写のための薬剤が用紙の表面や裏面に塗布されています。 そのため、何らかの成分が薬剤に反応し、紙同士が貼り付いた可能性があります。

そこで今回は、オフィスで起こり得る状況を想定し、ノーカーボン紙が接着する原因を再現実験で確認しました。

コーユービジネスによる「夏休み実験室」として、ノーカーボン紙が接着する原因を検証します。

ノーカーボン紙とは

カーボン紙を使わずに複写できる、伝票用紙の一種です

ノーカーボン紙とは、カーボン紙を挟まなくても、筆記や印字の圧力によって下の用紙に内容を複写できる用紙です。 請求書、納品書、申込書、作業伝票など、複数枚に同じ内容を残す必要がある帳票で使用されています。

一般的なコピー用紙や上質紙とは異なり、ノーカーボン紙には発色のための薬剤が塗布されています。 この薬剤が圧力によって反応することで、下の用紙に文字や数字が写る仕組みです。

POINT

ノーカーボン紙は「紙そのものが複写の仕組みを持っている用紙」です

そのため、水分や成分の影響を受けた場合、通常の紙とは異なる反応が起きる可能性があります。 今回の実験では、この薬剤と飲み物の成分が関係しているのではないかという仮説を立てました。

ノーカーボン紙の構造

ノーカーボン紙の基本構造

ノーカーボン紙は、上用紙・中用紙・下用紙という3種類の紙で構成されています。 上用紙の裏面にはマイクロカプセルが塗布されており、その中には無色染料が入っています。 下用紙の表面には顕色剤が塗布されています。

上用紙の上からボールペンなどで文字を書く、またはドットプリンターで印字すると、 裏面のマイクロカプセルが壊れて中から無色染料が出ます。 その染料が下用紙の顕色剤と化学反応を起こすことで発色します。

上用紙

裏面にマイクロカプセルを塗布

筆記や印字の圧力によって、裏面のマイクロカプセルが壊れ、無色染料が出ます。

中用紙

上下に反応層を持つ用紙

複数枚の伝票で、上からの圧力を次の紙へ伝えながら発色させる役割を持ちます。

下用紙

表面の顕色剤で発色

上用紙から出た無色染料と反応し、筆記内容や印字内容を複写します。

実験方法

オフィスで接触する可能性がある飲み物で実験しました

では、何がノーカーボン紙を接着させたのでしょうか。 オフィスにあるもので、ノーカーボン紙の薬剤に影響しそうなものを考えました。

文房具類は、長年にわたって帳票と一緒に使われています。 もし文房具が原因であれば、もっと頻繁に同じ現象が起きているはずです。 そこで今回は、文房具ではなく、作業中に誤ってこぼれる可能性がある飲み物に注目しました。

実験では、3枚綴りの同じ帳票を4セット用意し、上用紙の上から同じ分量の水滴を落としました。 その後、乾燥するまで待ち、紙同士が接着するかを確認します。

実験に使用した飲み物
DRINK 01

紙に水分が付着した場合の基本条件として確認しました。

DRINK 02

お茶

日常的に飲まれることが多く、作業中にこぼれる可能性がある飲み物として確認しました。

DRINK 03

コーヒー

色や成分の影響が出やすいと考え、接着の有力候補として確認しました。

DRINK 04

スポーツドリンク

糖分や塩分を含むため、ノーカーボン紙の薬剤に影響する可能性がある飲み物として確認しました。

実験前は、粘着性がありそうなコーヒーがもっとも接着しやすいのではないかと予想していました。 しかし、実際の結果は予想と異なるものになりました。

実験動画

「夏休み実験室」の模様を動画で記録しました

実験の様子を動画で記録しました。 どの飲み物でノーカーボン紙が接着したのか、実際の状態をご覧ください。

考察

スポーツドリンクだけが、ノーカーボン紙を接着させました

実験の結果、ノーカーボン紙を接着させたのはスポーツドリンクだけでした。 紙の繊維まで引き剥がすほど強く接着しており、単に表面が湿っただけではない状態が確認できました。

一方で、コーヒーは上用紙を汚しただけで、下の用紙まで浸透することはありませんでした。 この結果から、色の濃さや見た目の粘着性だけで接着が起きるわけではないと考えられます。

スポーツドリンクに含まれるどの成分が影響したのかを確認するため、追加実験として「塩水」と「砂糖水」でも検証しました。

追加実験 01

塩水

塩水では、ノーカーボン紙を接着することができました。 このことから、塩分が接着現象に関係している可能性が高いと考えられます。

追加実験 02

砂糖水

砂糖水では、ノーカーボン紙を接着することはありませんでした。 糖分だけでは、今回のような接着現象は起きにくいと考えられます。

また、スポーツドリンクが上質紙でも同じように接着するかを確認しましたが、上質紙では接着しませんでした。 そのため、今回の現象は飲み物の粘着性だけではなく、ノーカーボン紙に塗布されている薬剤と関係している可能性があります。

結果

スポーツドリンクに含まれる塩分が影響した可能性があります

実験結果から、スポーツドリンクに含まれる塩分がノーカーボン紙の接着に影響した可能性があります。

ノーカーボン紙の表面には、複写のための薬剤が塗布されています。 そこに塩分を含んだ水滴が落ちることで、薬剤の一部が水分に溶け出し、乾燥する過程で紙の繊維とともに固まったのではないかと考えられます。

つまり、ノーカーボン紙では、通常の紙では起きにくい反応が起こる場合があります。 伝票を扱う際は、水分だけでなく、飲み物に含まれる成分にも注意が必要です。

請求書、納品書、申込書などのノーカーボン帳票を扱う際は、スポーツドリンクなどの飲み物の雫が付着しないようご注意ください。

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AUTHOR 森脇 裕之 (株)コーユービジネス

実験の結果は、意外にも塩分でした。 ということは、この酷暑の中で仕事をしていると、ポタリと落ちた汗でも帳票がくっつくかもしれません。

暑い時の汗と冷や汗では、どちらが塩分が濃いのでしょうか。 それも、いつか実験してみる必要がありそうです。