#35 就活する学生たちの「思考」をつかめ

就活する学生たちの「思考」をつかめ

 

**海外には解禁などない**

日本の学生は将来性を見込まれて内定されますが、海外ではその人材の今のスキルのみを判断して採用されます。就職も転職も実力次第というのが海外の企業です。

日本の企業がグローバルな戦場で戦っていくためには、売り手市場というレッドオーシャンの中から人材を確保していて、戦力として間に合うのかという大きな不安があります。

災害大国という閉塞感。団塊の世代の人員喪失の影響から構造的に人手不足。しかし外国人の移民は認めたくない国民性。そんな日本の企業がどう光明を見出すのか?

 

――就活する人たちは、何を思って、何を企業に求めているのでしょう?
企業に在籍している人だって、かつては就活経験者だったはず。皆様は覚えてますか?
かく言う私も就活者でしたが、「あの当時はどんなだったかな? ん〜」
って、すぐに思い出せないってことは、良い思い出とか無かったってことかな。カラ回りが多かった時期を潜在意識が隠そうとしているのかな。――

 

**今年は短期決戦の年**

会員企業1300社が所属する日本経済団体連合会は、2017年卒業者の就職活動の面接解禁時期を当初の8月から6月に変更し、2ヵ月前倒し致しました。

そうなると、説明会は3月。春休み中にエントリーして、説明会参加、エントリーシートの提出や筆記試験。6月から面接・選考が解禁、公務員試験や実習と重なりながらも10月の内定まで企業への対応に追われます。

期間が短いと志望企業を増やすことが難しくて、しぼり込む傾向がみられます。学生が応募する企業数が減っているのが今年の状況です。

就活者

**多くの企業がフライングゲット!**

大手企業が経団連の指針を順守しているというのは、あくまで「表向き」。

HR総研の調査によれば5月末までに77%の企業がフライングゲット(面接選考開始)しているようです。大手企業は建前上、6月1日から「面接」を開始しますが1週間程度で内々定を出しています。経団連の正式内定解禁日は10月1日以降です。経団連傘下の大手企業は面接解禁以前の面接を「面談」「質問会」「ジョブマッチング」「模擬面接」とか呼び名を変えて偽装している場合があるようです。

就職みらい研究所の調査によると、7月1日時点での大学生(大学院生除く)の就職内定率は70.8%、前年同月の49.6%と比べて21.2ポイント高いという結果でした。

――目指している企業が早々に締め切り、「ヒエー!」なんていう状況だって大いにありえます。学生は、良くも悪くも就活時に、いきなり大人の事情を体験するということですね。表向きとか建て前とか偽装とか。あ〜何ともヤな世界だ。――

 

**新規学卒者が背負う負担**

ご存知の通り、若年者の人口は減少しています。 企業が目指す「グローバル化」や「イノベーション」「企業成長」に必要な力量が一人当たりへの期待となって、高負荷となってきます。

――そんな期待、重いですケド。って、若者たちの声が聞こえてきそう。――

**就職希望者の意識**

リーマンショック以降の世界同時不況の中、2011年には東日本大震災が起きて、「楽しく働きたい」と思う就職希望者は徐々に減り、「人のためになる仕事がしたい」「社会に貢献したい」と思う就職希望者が徐々に増えつつあります。

――日本人の真面目なDNAが受け継がれているみたい。頑張るのだ! 若者たち。――

就活者男性

就職活動サイト「ジョブウェブ」による調査結果を見ると

●「企業の経営が安定していること」を重視する 73.1%(学生の回答 一部抜粋)

現事業に満足することなく、常に新しいニーズを模索し、新事業を展開していこうという意思が感じられるかどうかが、今後企業として安定していくうえで大切になってくると考えています。

●企業規模を重視する 74% (学生の回答 一部抜粋)

企業規模が大きいということは、自分が関わる仕事の社会に対する影響が大きいということだと考えます。社会に貢献するという視点から、企業規模の大きさを重視します。

●「一緒に働く人(社員)」を重視する 94% (学生の回答 一部抜粋)

企業というのは人がいて、初めて組織作られるものだから、その人たちが、その会社のDNAだと思うため。

●「業界の動向(将来性)」を重視する 85.9% (学生の回答 一部抜粋)

非常に先行きが予想し辛い時代であるため、業界動向は特に注視している。

●「企業の社会貢献度」を重視する 60.5% (学生の回答 一部抜粋)

社会貢献をビジョンに掲げている企業は自分たちの仕事がなくてはならないものだというプライドが感じられる。プライドを持って仕事に取り組む姿は純粋にかっこいいと思う。突き詰めて考えると社会に貢献していない企業などないが、企業側がどれだけ社会貢献を意識しているかは差があると思う。

●「風通しの良い社風・組織風土」を重視する 88.4% (学生の回答 一部抜粋)

風通しが良いというのは、組織が新しいものを受け入れる度量をもっているということだと思うので、自分のやりたいことにチャレンジさせてもらえる環境だと思うから。

――風通しの良い窓際で、これを書かせて頂いていますが、学生たちは、ちゃんと考えているようです。

就職活動とは、企業が学生から審査される機会でもあります。

売り手市場ですから「はい、次の企業の方どうぞ」みたいな面接があっても不思議ではありません。「どうして私を採用したいのか、簡潔に理由を述べてください」とかね。

企業側はそれくらいの立場で臨まないと、ですね。
気合いと気合いがぶつからないと。
学生たちには世界の企業と戦うつもりで、面接に挑んで欲しいですし。
頑張れ!学生たち。
頑張れ!就職担当者たち。――

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