#31 いま「自動翻訳」がすごいらしい!

いま「自動翻訳」がすごいらしい!

外国からのお客様がホントに増えていますね。
街を歩けば、外国の方に道を訊かれる機会が増えています。
スラッと英語で対応される方は、すごく羨ましいです。
ベタッと大阪弁で答えている人は、その自然体もすごいと感心します。

大阪人の強いハートを欲しいと思ったことはありませんが、英語が話せたらって思うことはありますよね。

話せたらいいですね。

今、注目の技術が「自動翻訳」です。
これが、すごいことになっているみたいです。

2003年に観光庁が始めましたビジット・ジャパンが2013年に1,000万人を達成して、2015年には1,973万7,000人(前年比147.1%)の外国人観光客を集客しました。
2020年の東京オリンピックも目前です。想像もつかないような数の外国人観光客が来日することになります。

語学が堪能なスタッフが不足していることが、深刻な問題となっています。

外国からのお客様

機械が通訳

総務省は外国人旅行者との言葉の壁をなくすために「グローバルコミュニケーション計画」を推進しています。人材が不足しているなら、システムでカバーしようというわけです。

昨年度(平成27年度)の総務省所管における「多言語音声翻訳技術の研究開発及び社会実証」の予算が20.5億円です。スマートフォンに外国語で旅行や医療に関する文章を音声入力すると日本語に変換できるようにするという技術です。

ねらいは

  • 「観光ビジネスを強化して地方経済の活性化に役立てる」
  • 「東京オリンピックの注目の場で日本の技術力をプレゼンテーションする」
  • 「災害時などの危機に対応する」ということ。

翻訳の精度を高めるためには、「corpus(コーパス)」という言語の膨大なデータが必要です。
音声認識では、例えば「東京」という言葉ならば、世代、男女、訛り、声帯の違いなど、聞こえ方の異なる音声データをどれだけ多く集められるかが精度向上の決め手となります。

いろんなTOKYO  

企業の翻訳システムの技術もかなり先行

株式会社みらい翻訳(NTTドコモが設立した機械翻訳の合弁会社:ドコモが51%、翻訳ソフト業界大手の韓国シストラン・インターナショナルが30%、音声認識・翻訳システム開発のフュートレックが19%)。
「はなして翻訳」というサービスは携帯電話に話した内容が外国語(10ヶ国語)に翻訳対応されます。携帯電話1台で交互にボタンを押して話せば、お互いが母国語で対話が可能という優れものです。今年は、TOEICの700点レベルを目指すそうで、これは一般企業の国際部門社員の平均点です。

しかし、「はなして翻訳」は「ぼちぼちでんな」を、まだ訳せないそうです。

国立研究開発法人 情報通信研究機構(NICS)「Voice Tra」(ボイストラ)は、10言語で「旅行会話」を中心に開発された翻訳技術です。成田国際空港が公開する多言語翻訳アプリやKDDIが提供する「おはなしアシスタント」の音声翻訳機能として採用されています。また、スマホアプリとしても無料で提供されています。

京浜急行電鉄は2014年に品川駅と羽田空港国際線ターミナル駅で試験的に「Voice Tra」を導入しました。観光案内であれば実用段階に達しているとのことです。

「Voice Tra」はミャンマー語、関西弁の翻訳機能も実装しているとのこと。 でも、「ぼちぼちでんな」は、どうでしょうかねえ?。

「んで?。ぼちぼちでんなをどこで使うねん!」って誰かのツッコミが聞こえる気がします。

iPhoneの「Siri」の音声認識レベルも上がっていますが、さらにGoogleの検索用音声認識の精度も向上しています。それはユーザーが入力する音声データとYouTubeなどにアップされる膨大な音声データを匿名化し、分析しているからだそうです。

iPhone  

人間だって負けてられない

機械翻訳には限界があり、まだまだ人に敵わないところがあります。
人間ならではの「やわらかな解釈」です。

名翻訳家で知られている高瀬鎮夫さんは、映画「ジャズシンガー」(1927年)の台詞 You ain’t heard nothing’ yet!(あなたはまだ何も聞いてはいない)を 「お楽しみは、これからだ」と訳しました。

こんな超絶な翻訳技巧はまだまだ機械ではできないでしょう。
ね、機械はまだ「ぼちぼち」でしょ。

アル・ジョルスン

日本人だもの

そもそも、お客様側の言語で応対するって、いかにも日本人らしい考え方ですよね。
素晴らしい「おもてなし」感覚だと思います。

アメリカ人だったら日本人が渡米すると「英語で話しなさい」みたいな対応です。「英語できないの?」みたいなね。
大阪人の感覚だけは欧米スピリッツに近いです。
「んなもん。大阪なんやから、大阪弁で話すわ」っていう感じ。

世界の歌姫といわれているアリアナ・グランデさんは、日本が大好きで日本語の猛特訓中だとか。世界レベルの人が憧れる今の日本というブランド力はたいしたものです。

これを機に日本語をグローバル化させようという発想があっても良いですよね。

日本語はガラパゴス的なポジションだからこそ、日本文化の魅力を高めているといえます。
高嶺に咲く花ほど、憧れてもらえるものですから。

2020年には、日本の企業はどんな技術を世界にお披露目するのでしょう?
日本のブランド力はどこまで向上するでしょうか?

「お楽しみは、これからだ」なのです。