#30「巨大なデータと小さな惑星」アマゾンのビッグデータ戦略など

「巨大なデータと小さな惑星」アマゾンのビッグデータ戦略など

情報は爆発しています

米国の調査会社IDCが計算したところ、人類は2013年の1年間で、インターネットに約2ゼタバイトのデータを蓄積させました。

なんと2ゼタバイトですよ。「ゼタ」って言われても、よくわからない単位ですけどね。

分からないことは調べましょう。キロという単位の上にはメガがあって、ギガ、さらに上のテラ。ここまでは何とかなじみがあります。その上のペタ、これは、これは、初めまして。さらに何やら気取ったエクサが登場して、さらにその上にやっとゼタがお出まし。10の21乗の単位です。

ついでに、その上はヨタというそうですが、これは与太ではなくて本当の話。

約2ゼタバイトは、20世紀の終わりまでに全人類が蓄積したデータ量の約300倍以上に匹敵するそうです。急激な増加です。

2020年に向けて、これらのデータは約2年で2倍のペースで増加していくことも予測されていますから、情報はまさに今、爆発をしている状態です。

ビッグデータだの、何だのと言われるわけです。

「ビッグデータ」って、どこかの宝くじみたいで、いかにも味気ないネーミングだなぁ。

もっと的確に言うなら「カオスデータ」が正解じゃないかって思います。

混濁している気配も含めないと。

地球

ビッグデータは育ち盛り

本格的なユビキタスの時代に入りました。

ユビキタス。どこからでもインターネット情報につながるっていうあれです、あれね。誰もが歩きながらでも、電車の中でもスマホやタブレットを触っていますよね。

若い人なんか、かなり高速で指を動かしています。いつか、腱鞘炎をきたすのじゃないかって、他人事ながら心配します。

指に腱鞘炎をきたすので、「ユビキタス」というようになりました。

って、そう覚えましょう。中間試験で出しますからね。

家電や自動車など様々なものがクラウドサーバーに接続されますから、データの蓄積はさらに膨らみます。

好き嫌いの無い子供はどんどん育つのです。

I o T(Internet of Things)によって、2020年には約500億の物がインターネットに結合されるそうです。

Facebookは1日に8億6,400万人が利用し、10テラバイトのデータ処理をしていると言われています。LINEのユーザ数は5億6,000万人を突破しました。

さらに、交通状況・農業・工業計装・健康管理・戦闘地域監視などのモニタリング用のセンサネットワークからデータが流入してきます。

増加される蓄積データ量の不気味さを想像すると、膨張する宇宙みたいだと思いませんか。思わない。そう?

夜空に見える星は、何万光年も過去の光。

そして、「ビッグデータ」もすべて膨大な過去のデータです。

人類は「未来の予測」をやめられない

ビッグデータという「過去のデータの総体」を分析して、ビジネス傾向の推測ができ、疫病が予防できます。犯罪の防止や交通状況の予測など、近い未来の予測に役立ちます。

つまるところ、「未来の予測」です。

人類は古代からず〜っと、未来の予測に力を注いできたのですね。

占星術はバビロニアの時代から生まれましたし、マヤ文明にも占い師はいて、日本にだって陰陽師が活躍していた時代がありました。

当時は、「星を読むこと」が最先端の科学でした。

今は、凄まじい量のデータを解析することに変わりました。

現代版「安倍晴明」。

「先のことを知りたい」が人類の悲願なのかも知れません。

正解が解らずに、先に進むしかしようがないという現実から、何とか抜け出したいという思い。

正解が解らず意見が分かれることは政治の世界ではよく見かけます。

昨今の中央省庁の地方移転。

地方都市へ人の流れを生んで、活性化させるという観点から、新たなビジネス、新たな雇用が生まれるわけですから、とても良い政策だと思うんだけど。

でも、官僚の立場からは、円滑な運営ができない、女性職員の離職者が急増するとかで猛反対する声が上がっています。

決定する力、決定する根拠を得たいという思いも、「未来の予測」へと繋がっているようです。

ビッグデータとビジネス

個人の周りにも、「カオスデータ」が溢れています。

最近では、画像認識技術を利用して、個人の膨大になった写真データを解析して、整理をお手伝いするサービスが登場してきました。

富士フィルム株式会社の「スマートセレクト」や「Google Photos」といったサービスです。

また、AISSY株式会社はビッグデータに数値化した味覚データを加えて、味覚トレンドを予測しようと研究しています。「売れ筋商品」を先読みして市場に出すということも可能になります。

アマゾンは当日出荷という離れ業を実施して、業界を騒がせましたが、さらに「予期的な配送」の特許を取得しています。

「予期的な配送」とはパターンを解析して行動を予測するビジネスモデルです。

顧客の注文実績などの要因を分析して、まだ注文をしていないのに、その前から箱詰めし、出荷するサービスです。

商品はトラック内で待機して、注文と同時に配達するのだとか。

受け取りに時間がかかると購入を思いとどまる顧客がいるので、その課題を解決するためだそうです。

注文ボタンを押した途端に、「お待ち〜」なんて配達がきたら、びっくりですよね。

これは、ビッグデータという総体ではなく、個人単位のスモールデータへ着眼した行動経済学の応用です。果たして、アマゾンマジックは実現できるのでしょうか?

小さな惑星の歩き方

エントロピー増大則ってあるでしょ。熱力学では自然に放っておいたら無秩序へ変化するっていう、あれです、あれ。

もう、学が無いのが丸出しですが、言いたかったのは、地球という閉じられた世界では、情報も人類もこの法則からは逃れられないなぁって、感じていること。

ヒトは小さな開かれた空間に暮らしていた黎明期には、秩序に向かって進んでいた時もありました。

少数で、今よりもはるかに広大な世界を移動し、狩猟していましたが、やがて作物を植えて定住します。畝を作って他者と区分けをします。中国では農地が区画された様子から「田」という字形が誕生します。この字なんか秩序そのものですよね。それが、村となって国となります。

今、世界の人口は70億人に到達しました。地球はますます小さくなって、限られた世界となってきました。

今はもう区分けやボーダーを軸に考える時代では無くなりました。

自国のことだけに捉われた政策は、すぐに小さな地球全体を大荒れにしてしまいます。

垣根は崩壊し、ヨーロッパでは移民を止めることはできません。

国や人種を意識した利益にこだわっているのは、政治家たちや経営者ですが、自由な経済活動が行われているようには思えません。

アメリカの大統領選挙で聞こえてくる演説に違和感を感じている人は多いと思います。

ジョーカーを排除しようとすればするほど、一周回って自分の手札に戻ってくるのがトランプに潜むトラップです。よくあるでしょ、またジョーカー来ちゃったよってやつね。

ブラフが多くて、切り札が乱暴なトランプはもっと不安でたまりません。トランプはクールでなくっちゃ、いけませんやね。

象は優しい方がいい

ビッグデータも世界の人口も、まだまだ増えていきそうです。

世界はまた小さくなって、私たちは混ざり合って、小さなくしゃみにも影響し合うことになります。

アフリカには、なぞなぞのようなことわざがあります。

二頭の象が戦えば、どうなるでしょうか?

答えは、草木が傷みます。

「情けはひとのためならず」という言葉を世界で共有できれば、どんなに素晴らしいかって思います。他人を助ける方が結果的に自分を含めたみんなの利益として還ってくるのが、小さな惑星の世界です。

この小さな星で人々が暮らしやすくなるために、「未来を予測」すること。

争いや貧困を無くすためにビッグデータが活用される時が来ることを期待しています。

ビジネスなんて、その後でもいいじゃないですか。